京都の花街ではよく聞かれる「一見さんお断り」
初めての人は入店を断られる、独特の花街文化があります。
閉鎖的で有名人や社会的地位がある人の行くところ!お金があっても入れない! と聞くと秘密めいていて、余計システムが気になりますね。
一見さんとは
先ず一見さん(いちげんさん)とは、一度もそのお店を訪れたことがなく、フラっと気ままに立ち寄るお客さんのことです。
京都の花街は、ごく一部の限られた富裕層の人たちだけに許された排他的でよそ者は突っぱねるというイメージが有りますよね。
特に京都の祇園を中心とした五花街のお茶屋や、格式や伝統を重んじる料理屋では「一見さんお断り」の文化が続いています。
どうして面識がないと敷居をまたぐ事ができないのかをご説明します。
暗黙のルール「一見さんお断り」
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「一見さんお断り」京都では有名なフレーズですね。
暗黙のルールは、300年の歴史があります。
それは、大切なお客さんに満足をしてもらう為にできたものでした。
* いくらお金があっても一見さんが場を読めず雰囲気を壊してしまった場合、常連のお客さんが足が遠のくのを避けるためです。
* 実際はその理由だけではでなく、お客様の好みや人柄なども分からないとサービスが通り一遍等になってしまい、気の利いたおもてなしができないからという理由です。
お客さんも、祇園甲部・宮川町・先斗町・上七軒・祇園東の5つの花街がありますが、1つの街では最初から最後まで1つお茶屋だけで浮気はしません。
これも暗黙のルールです。
支払いはツケが原則
昔から支払いはツケが原則です。
面識がなく身元がわからない一見さんが、マナーや酒癖が悪く素行トラブルがあった場合、高額な売掛を回収できないリスクがありますね。
常連のお客さんの連れてきた一見さんが、もしトラブルや未払いがあった場合は、その紹介したお客さんが恥をかいた上、責任を取る訳です。
そのため、下手な人を紹介する訳にいかず信頼できる人を紹介するので、店側も双方信用ができる関係が成り立つんですね。
実はこんな理由で、一見さんにはお断りするのです。
高飛車な訳でもなく、排他的でもなく一見さんお断りの事情は、昔から必然的にできた先人の知恵、こんな保証人制度があるという事なんですね。
お茶屋もお客さんも、安心して信頼できる人から別の信頼できる人へと、つながりの輪を広げていくスタイルです。
つまり、どちらも自ら危険を招き入れるような真似は最初からしないという事です。
花街のシステム
5つの花街で江戸時代から続くお茶屋が今も存在しますが、最盛期に500軒あったものが現在4分の1程に減りました。
お茶屋さんは、芸妓・舞妓さんと宴を楽しむ場所で、お客さんが来る時は、料理は料理屋から取り寄せ、芸妓・舞子さんは置屋から呼びます。
花街には、別名三業地ともいうお茶屋・料理屋・置屋の三つの業種の関わりで成り立っています。
お客さんの支払いは置屋でも料理屋でもなく、芸妓舞子さんの花代や酒代、交通費の全てお茶屋が立て替えているんです。
素性の確かな人しか出入りしないから、ステイタスなんですね。
花街でのこのルールでは、お茶屋の女将が一番重要な役目になります。
女将の仕事は
お客様の好みや目的に合わせ、最もふさわしい芸妓舞妓さんを選ぶ事や、一流の料亭が届ける贅を尽くした懐石料やお酒を手配する事が仕事になります。
常連客の嗜好をすべて把握しているんですね。
お客様の要望によっては宴席がホテル・料理屋・旅館でならその手配、二次会のスナックの紹介までする事もあります。
そして花代や御祝儀、タクシーやハイヤー、新幹線代、旅館の手配迄、諸経費は全てお茶屋がたてかえ、後日まとめてお客に請求します。
チケット販売も
出典:http://celeb-kyoto.com/post-2354-2354
芸妓と舞妓さんの芸事をお披露目する、都をどりや温習会などのチケットを売る仕事もあります。
最近はイベントへの派遣、地方や海外への出張、繪や写真のモデルに舞妓が使われるので、そちらの手配も。
お客様に合わせ特別に、座敷を演出で彩りしつらえたり、季節によりその時期しか見られない名所を貸切にする事もあります。
その人を喜ばせるためにあらゆる思考を凝らして、また来たいと思わせることが一番大切な仕事です!
細やかな気配りと配慮を欠かせませんね。
お茶屋の女将とは、総合的なプロデュースする大変な仕事をこなせないとできない仕事です。
まとめ
お茶屋で遊べるという事は、仕事・氏素性・マナーも信用できると認められたという事です。
政財界や経済人の間で、お茶屋で遊ぶことが一つのステイタスになっている理由はここにあったんですね。
お金だけでは敷居をまたぐ事ができないからこそ、よけいに魅了されるんでしょうね。